占いブログ
<大アルカナ・隠者>
灰色のマントを纏った「隠者」が、立っています。
周囲には、何もありません。
あるのは、無機質な灰色の「背景」のみ。
「隠者」が立っている場所は、凍っている大地で、草も花も育ってはいません。
「隠者」の周囲は、風もなく、光にもなく、香りもなく、音もなく、五感で感じる全てのものが失われてしまったようにも感じられて、「隠者」は、その何もない「静寂」に包み込まれているかのようです。
「隠者」は黄金に光る「杖」を左手に持っています。
そして、に右手には、黄金に輝く星を閉じ込めた「ランプ」を持っています。
「隠者」は、たった一人で、何を見て、何を聴いて、何を感じて、そして、何を伝えていきたいと考えているのでしょう。
「隠者」の周囲にはいないので、誰にも伝えることはできません。
「隠者」は、たった一人で、自問自答を繰り返していきます。
自分の内なる声に耳を傾ける。
内省。
自分が本当に求めているのかをもう一度考えてみる。
周囲の「ノイズ」から距離を置く。
人の意見を、あえて「拒否」する。
哲学的。
精神世界に浸る。
孤独。
頑なに周囲を拒絶して孤独になっている。
年長者の意見に耳を傾けてみる。
結果を求めない。
自分の世界の中に引きこもる。
経験を踏むことで叡智が深くなっていく。
大人の隠れ家的な場所。
成熟した関係のパートナーシップ。
お互いの領域を超えない関係。
「隠者」のカードは、一番嫌いなカードでした。
でも、今では、一番好きなカードになりました。
嫌いだったのは、「暗い」から。
でも、それは、「孤独」のネガティブなイメージが付き纏ってしまい、「ひとりぼっち」になるのが怖かったからかもしれません。
いつでもどこでも人と繋がれる今、一人になれる時間は、案外とないのかもしれませんね。
どこにいてもネットと繋がっているために、そばに居ない人とも容易に繋がることができます。
ぼくたちは「コネクト」されている。
(「鏡リュウジの実践タロットリーディングーもっと深く占うための78枚ー」鏡リュウジ著 朝日新聞出版)
実は、「隠者」のカードは、かつては「時の翁」と言われるカードでした。そして、「翁」が持っているは、「ランプ」ではなく「砂時計」です。
「時」は、その人の「財産」であり、その使い方は、その人個人の決定に全て掛かっています。
どのように「時」を消費していくのかで、その人の内側に、その人だけの「叡智」が濃縮していくのかが決まる。
「コネクト」から切り離された「時」を、意識して過ごしてみるのも良いかなと思っています。